朝、目は覚めた。仕事があることも分かっている。起きて、着替えて、家を出なければならない。
それなのに、動けない。
「仕事に行きたくない」
そんな朝はありませんか。
この言葉だけを見ると、単純に「仕事が嫌なのでは?」と思われるかもしれません。
でも少し細かく見ると、同じ「仕事に行きたくない」でも、止まる場所はかなり違います。
ある人は、目が覚めた瞬間から動けない。ある人は起きて朝食まで済ませられるのに、着替えるところで止まる。
またある人は家を出られるのに、会社の最寄り駅に着いた途端に足が重くなる。会社までは普通に行けるのに、PCを開いた瞬間に何もしたくなくなる人もいます。
全部まとめれば、「仕事に行きたくない」です。
でも、本当に全部同じ状態なのでしょうか。
今回のヤバりみ!回復研究所では、「なぜ仕事に行きたくないのか」という原因探しを、いったん後回しにします。
代わりに見るのは、
「自分は、どの場面から止まっているのか?」
です。
「仕事に行きたくない」と思った朝、まず見ること
仕事に行きたくない理由として、人間関係、仕事内容、長時間労働、通勤、評価への不満、将来への不安などが挙げられることがあります。
もちろん、それらが関係している場合もあるでしょう。
ただ、自分自身が理由をうまく説明できない朝もあります。
「別に昨日、上司とケンカしたわけでもない」
「大きな失敗をしたわけでもない」
「今すぐ会社を辞めると決めているわけでもない」
それでも、行きたくない。
そんなとき、無理に「原因はこれだ」と決めなくてもいいのではないでしょうか。
原因より先に確認できるものがあります。
それが、「止まった場面」です。
朝起きてから仕事を始めるまでを一つの塊として考えず、少しずつ分けて見ていきます。
① 目が覚めた瞬間から仕事に行きたくない
アラームが鳴る。目を開ける。
そして最初に、「今日、仕事か……」と思う。
まだ上司にも会っていない。メールも見ていない。布団から出てもいない。それなのに、その日の仕事を頭に浮かべた瞬間から重くなる。
この場合、まず見てみたいのは、
「仕事の何を最初に思い浮かべたのか?」
ということです。
今日の会議だったのか。大量に残っている仕事だったのか。特定の人の顔だったのか。通勤そのものだったのか。
それとも具体的な何かではなく、「また一日が始まる」という感覚だったのか。
ここでは、すぐに答えを出す必要はありません。
「朝からダメだった」で終わらせず、目が覚めた直後、最初に頭に浮かんだものは何だったか。そこまで細かくしてみます。
② 起きなければいけないのに、布団から出られない
目は覚めている。スマホを見ることもできる。時間も分かっている。
「あと10分で起きないと遅れる」
そう考えているのに、布団から出られない。
ここで「自分は怠けている」「根性がない」と評価する前に、一つ確認してみます。
休日の朝はどうでしょうか。
休日も同じように起きられないのか。それとも、仕事の日だけ極端に動きにくいのか。
前日の睡眠時間はどうだったか。最近ずっと疲れているのか。起き上がろうとしたとき、体そのものが重いのか。
あるいは、「起きたら仕事へ行かなければならない」と考えたところから、急に動きにくくなるのか。
「布団から出られない」という同じ行動でも、その前後で起きていることまで同じとは限りません。
③ 起きられた。でも着替えや支度で止まる
起床はできた。顔も洗った。朝食も食べた。
ところが、仕事着を手に取ったところで急に動きが遅くなる。歯磨きまでは普通だったのに、通勤バッグを準備する気になれない。
この場合、少なくとも「起きるところ」までは進めています。
見るのは、仕事へ向かう準備が具体的になった瞬間に、何が変わったかです。
仕事着、社員証、通勤バッグ、会社用のスマートフォン。
そうした物に触れたとき、何を思い出したでしょうか。
「朝から何もできなかった」と一括りにしてしまうと、実際にはどこまでできて、どこから止まったのかという違いが消えてしまいます。
④ 支度はできた。でも玄関から出られない
服も着た。荷物も持った。靴も履いた。
あとはドアを開けるだけ。
それなのに、玄関で止まる。
ここまで来られたということは、起床、洗顔、着替え、準備まではできています。
だから「今日は何もできない」とまとめるより、「玄関までは来た。でも、外へ出るところで止まった」と捉えた方が、起きていることを正確に表せます。
その瞬間、会社へ向かうことを考えたのか。電車に乗ることを考えたのか。誰かに会うことを考えたのか。
あるいは、今日やらなければならない仕事を思い出したのか。
正解を当てることより、止まった瞬間に何があったかを残すことを優先します。
⑤ 通勤途中、会社に近づくほどつらくなる
家は出られた。駅までも普通だった。電車にも乗れた。
ところが会社の最寄り駅で降りたあたりから、急に重くなる。
会社の建物が見えた瞬間に、「入りたくない」と感じる人もいるでしょう。
この場合、「朝起きられない」とはかなり違います。
ここで見るのは、
「どこから変わったか?」
です。
最寄り駅なのか。会社までの道なのか。建物が見えたところなのか。入口なのか。エレベーターなのか。
例えば休日に同じ駅へ遊びに行った場合にも同じようになるのか。それとも、会社へ向かう日だけなのか。
具体的な場所まで分かると、「仕事に行きたくない」という大きな言葉が、少しずつ具体的になってきます。
⑥ 職場には着いた。でも人・メール・PCの前で止まる
これは見落とされやすい場面です。
毎日会社へ行っている。遅刻もしていない。席にも座っている。
外から見れば、「普通に仕事へ来られている人」に見えるかもしれません。
ところが、PCの電源を入れる。メールを開く。チャットを見る。今日の予定を見る。
あるいは、特定の人が出勤してくる。
その瞬間から急に動きにくくなることがあります。
この場合、「会社へ行く」という行動そのものはできています。止まっているのは、その後です。
メールなのか。電話なのか。会議なのか。特定の仕事なのか。特定の人とのやり取りなのか。
「仕事の中のどこから重くなるのか?」
そこまで分けると、「会社には行けているから大丈夫」という見方とは違うものが見えてきます。
⑦ 仕事を始めようとしても、やる気が出ない
会社には来た。PCも開いた。メールも確認した。
でも、最初の仕事に手をつけられない。
資料を作る。返信する。電話を一本かける。
何をするべきかは分かっている。それでも始められない。
ここでは、「仕事全部が嫌なのか」と「最初の一つを始められないのか」を分けてみます。
誰かから頼まれれば作業できる。簡単な仕事ならできる。午後になると動ける。
好きな業務なら始められる。締切直前になると急に進む。
こうした違いがあるなら、単純に「やる気がない」という一言だけでは説明しきれません。
休日なら動ける? 仕事の日だけ動けない?
7つの場面を見たら、もう一つ比較してみます。
仕事がない日はどうでしょうか。
休日なら朝から出かけられる。趣味なら集中できる。買い物には行ける。友人とは普通に話せる。
それなのに、仕事の日だけ止まる。
反対に、休日も起きられない。好きだったことにも手が伸びない。家事や食事もしんどい。
仕事だけではなく、生活全体で以前と違ってきている。
この二つは、少なくとも同じ状況として扱わない方がよさそうです。
そして、「休日に遊べるなら甘えだ」と判断するための比較でもありません。
休日と仕事の日で違う。あるいは、どちらも同じように動きにくい。
その違い自体が情報です。
「原因は何?」より先に、止まった場所を記録してみる
仕事に行きたくない朝、「自分はなぜこうなったんだろう」と考えても、すぐ答えが出ないことがあります。
そんなときは、原因ではなく事実から始めます。
例えば、
【ある朝の記録】
6:30 目は覚めた
6:45 布団から出た
7:10 朝食は食べられた
7:25 着替えようとして止まった
7:35 今日の会議を思い出した
7:50 今日は行きたくないと思った
これだけでも構いません。
別の日なら、
「家は普通に出られた → 電車も大丈夫だった → 最寄り駅で急に重くなった → 会社の入口で一番強くなった」
かもしれません。
何日か残してみると、毎回同じ場所で止まっているのか、それとも日によって違うのかという情報が出てきます。
「仕事に行きたくない」という大きな感覚を、いきなり解決しようとしない。
まずは、自分に何が起きているのかを観察できる大きさまで小さくする。
それが今回のポイントです。
今日休むか、誰かに相談するかを考えたほうがいいとき
この記事だけで、「今日は仕事へ行くべき」「休むべき」「会社を辞めるべき」と決めることはできません。
仕事へ行きたくない感覚には、仕事上の問題だけでなく、睡眠や疲労、生活上の出来事、心身の状態など、さまざまな要素が関係する可能性があります。
以前と比べて明らかに状態が変わった。仕事以外の日常生活にも大きな影響が出ている。睡眠や食事などの変化が続いている。つらい状態が長く続いている。
そうした場合は、一人で原因を決めつけず、医療機関を含めた専門家への相談を選択肢に入れてください。
職場の問題が関係していると思う場合には、信頼できる人や職場の相談窓口などへ相談する方法もあります。
これは、「どこまで我慢できるか」の競争ではありません。
今の状態を一言で説明できないとき
ここまで読んでも、「自分がどれなのか、よく分からない」ということもあります。
それでも構いません。
実際の状態は、7種類にきれいに分かれるとは限りません。
朝は布団から出られず、何とか出勤してもメールでまた止まる。昨日は玄関だったのに、今日は会社の入口だった。
そんなこともあるでしょう。
だから必要なのは、自分に病名や性格のラベルをつけることではなく、今の自分に近い場面を一つずつ見ていくことです。
KAIROSも、そのための一つの入口として使えます。
今の自分に近い状態や場面を選びながら、「自分はいま、何に引っかかっているのだろう」を整理していくためのものです。
医療的な診断をするものではありません。
「自分でもうまく説明できない」というときに、まず言葉にしてみるための入口として置いています。
まとめ——「仕事に行きたくない」から、もう一段だけ具体的にする
仕事に行きたくない朝。
すぐに「怠けている」「仕事が向いていない」「会社を辞めるしかない」と結論を出さなくてもいいのではないでしょうか。
まず確認するのは、「どこで止まったのか」です。
目覚め → 布団 → 支度 → 玄関 → 通勤 → 職場 → 最初の仕事
そして、仕事がない日にはどうなのか。
同じ「仕事に行きたくない」という言葉でも、ここまで分けると中身はかなり違って見えます。
原因を急いで決める前に、
「今日、自分はどこで止まったのか?」
まずは、そこから記録してみてください。
※この記事は、特定の病気の診断や治療を目的としたものではありません。心身の不調が続く場合や日常生活への影響が大きい場合は、必要に応じて医療機関など専門家への相談をご検討ください。
ヤバりみ!回復研究所
「うまく説明できない今」を、いきなり決めつけず、少しずつ言葉にしていくための研究連載です。


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