何もしたくない、やる気が出ない——それは本当に「怠け」なのか?ヤバりみ!回復研究所

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何もしたくない。

仕事も、家事も、連絡も、できれば全部あとにしたい。

やらなければいけないことは分かっている。

それなのに動けない。

横になったままスマホを見ているうちに時間が過ぎて、

「今日も何もしなかった」

と後悔する。

そして最後には、

「自分は怠けているだけなんじゃないか」

と思ってしまう。

でも、そこで自分を責める前に、一つだけ確認してほしいことがあります。

あなたの「何もしたくない」は、具体的にはどんな状態でしょうか。

同じ言葉でも、中身はかなり違います。


「やりたくない」と「やりたいのに動けない」は違う

本当に今日は何もせず休みたい。

それなら、休むこと自体が悪いわけではありません。

でも、

「本当はやりたい」

「やらないと困るのも分かっている」

「終わらせれば楽になることも分かっている」

それでも始められない。

そんなときは、単純な「やる気」の問題として片づけない方がいいかもしれません。

人が何かをするには、

  • 何をするか決める
  • 注意を向ける
  • 最初の行動を始める
  • 順番を考える
  • 途中で別のことに気を取られても戻る
  • 終わるまである程度続ける

といった、いくつもの働きが必要だからです。

一つがうまく働かないだけでも、

本人には、

「何もする気になれない」

と感じられることがあります。

だから最初にやることは、気合いを入れることではありません。

どこで止まっているのかを探すことです。


まず、今の自分に近いものを探してみる

診断ではありません。

今の状態を少し細かく見るためのチェックです。

1.体そのものが重い

「やろう」とは思う。

でも、立ち上がること自体がしんどい。

シャワーを浴びる。

着替える。

食事を作る。

買い物に行く。

普段なら何でもない動作が、今日は妙に遠く感じる。

この場合、

「何もしたくない」というより、

「動き出すための力が出ない」

に近いかもしれません。

今日は無理に大きな予定を立てるより、睡眠や疲労、食事、体調なども一緒に振り返ってみます。


2.頭がぼーっとして考えられない

パソコンを開いた。

資料も目の前にある。

でも、

「何からやればいいんだっけ?」

となる。

同じ文章を何度も読む。

人から説明されても頭に入ってこない。

考えようとすると、頭の中に霧がかかったように感じる。

これは、

「やる気がない」のではなく、「考えること自体が重くなっている」

可能性もあります。

睡眠不足は、持続的注意や実行機能などの認知パフォーマンスに影響することが研究されています。

昨夜ほとんど眠れなかった人と、十分休んでいるのに何週間も同じ状態が続いている人では、考えるべきことも違います。

まずは、

「眠れているか」

を確認するだけでも一つの手掛かりになります。


3.やることが多すぎて、一つ目を決められない

メールを返す。

資料を作る。

洗濯する。

支払いをする。

買い物にも行く。

一つだけならできそうなのに、全部が頭に浮かんだ瞬間に動けなくなる。

そして何もしないまま時間が過ぎる。

そんなときは、

「全部やらなければ」

をいったん捨てます。

紙でもスマホでも構いません。

やることを全部書き出して、

「今から10分以内に始められるものを一つだけ」

選びます。

終わらせる必要はありません。

まず一つ目を決める。

それだけです。


4.何をすればいいか分かっているのに、始められない

これはかなり苦しい状態です。

やることも分かっている。

方法も分かっている。

時間もある。

それなのに始められない。

「あと5分したら」

と思ってスマホを見る。

30分経つ。

さらに嫌になる。

そして、

「また自分はできなかった」

となる。

ここで自分を責め続けると、

やるべきこと

始められない

後悔する

自分を責める

さらにその作業を見るのが嫌になる

という循環ができます。

この場合、今日試すのは「仕事をする」ではありません。

最初の動作だけにします。

資料を作る
→ ファイルを開く。

勉強する
→ 教科書を机に置く。

片づける
→ ゴミを一個捨てる。

散歩する
→ 靴を履く。

風呂に入る
→ 着替えを用意する。

そこまでやって止めても構いません。

目的は「全部終わらせること」ではなく、

止まっている場所を一度だけ越えてみることです。


5.やっても楽しくない。何にも興味が湧かない

これは少し違います。

以前なら楽しみにしていたゲームを起動しない。

好きだった動画も見たくない。

友人から誘われても行きたくない。

食べたいものも特にない。

仕事だけではなく、

好きだったものまで面倒になっている。

こうした変化が続いているなら、「怠け」で終わらせず、いつ頃から変わったのかを振り返ってみてください。

特に、

以前と比べて明らかに違う。

何週間も続いている。

睡眠や食欲も変わった。

仕事や学校、家事などの日常生活にも影響している。

そうした場合は、医療機関など専門家への相談も選択肢になります。

「何もしたくない」という一言だけで病名を決めることはできません。

逆に、病名が分からないから相談してはいけないわけでもありません。


6.仕事のことを考えたときだけ、急に動けなくなる

朝は起きられた。

食事もできた。

休日なら外出もできる。

ところが、

「会社へ行かなければ」

と考えた瞬間に重くなる。

この場合は、「自分にはやる気がない」と全部を一括りにしない方がよさそうです。

何が一番嫌なのかを一つずつ分けます。

仕事内容なのか。

人間関係なのか。

失敗することなのか。

通勤なのか。

誰かと会うことなのか。

仕事量なのか。

理由が自分でも分からないのか。

「人生全部にやる気がない」のと、

「特定の場面になると動けない」

のでは、次に考えることが違います。


「何もしたくない日」に、今日できること

ここまで読んでも、

「で、結局どうすればいい?」

と思うかもしれません。

全部を解決する方法ではありませんが、今日は次の順番だけ試してみてください。

① 体を確認する

眠れているか。

食べているか。

強い疲れはないか。

痛みや発熱など、普段と違う体調変化はないか。

まず身体側を無視しません。

② 「何もしたくない」を一段だけ細かくする

たとえば、

「体が重い」

「頭が働かない」

「何から始めればいいか分からない」

「失敗するのが怖い」

「仕事のことだけ考えたくない」

「人に会いたくない」

「何をしても楽しくない」

「理由は分からない」

これだけでも構いません。

③ 今日やることを一つにする

三つではありません。

一つです。

しかも、

「部屋を掃除する」

のような大きな一つではなく、

最初の一動作まで小さくします。

④ できなかったら、「なぜ?」を一回だけ見る

できなかった。

そこで、

「やっぱり自分は駄目だ」

まで進まない。

代わりに、

「どこで止まった?」

と考えます。

答えが分からなければ、

「今日は分からなかった」

でも構いません。


「一個だけ」すらできない日もある

ここは大事です。

この記事を読んで、

「よし、今日は一個だけやろう」

と思っても、

できない日があります。

ベッドから出られない。

シャワーも無理。

返信もできない。

そんな日に、

「一個すらできなかった。やっぱり自分は駄目だ」

という新しい宿題を増やす必要はありません。

今日は何もできなかった。

では、

何が一番重かった?

そこだけ見てみます。

体が重かった。

眠かった。

頭が働かなかった。

仕事が怖かった。

人と話したくなかった。

何も楽しくなかった。

あるいは、

「理由は分からない」

でもいい。

「何もしたくない」という大きな塊から、一つでも言葉が出てきたら、それは次を考える材料になります。


病名を探す前に、「今の状態」を言葉にする

ネットで調べていると、

「これは○○という病気なのでは?」

と考え始めることがあります。

もちろん、診断が必要な場合は専門家の領域です。

でも、自分自身で今すぐできることもあります。

病名ではなく、今起きていることを言葉にすることです。

「やる気がない」

から、

「体が重くて始められない」。

「何もしたくない」

から、

「仕事を考えたときだけ動けなくなる」。

「怠けている」

から、

「何から始めるか決められない」。

少し具体的になるだけで、自分への見方も変わります。


自分でもうまく説明できないときは

ヤバりみ!では、

「今の自分をうまく言葉にできない」

ときの入口として、KAIROSを公開しています。

KAIROSは診断をするものではありません。

病名を判定するものでも、治療をするものでもありません。

いくつかの「今の気持ち・状態」から、自分に近いものを選び、生活の場面まで少し具体的にしていくためのものです。

たとえば、

「何もしたくない」

だけでは分からなかったものが、

「何を始めようとして止まったのか」

まで見えてくるかもしれません。

まず無料で試せます。

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こんなときは、一人で整理することだけにこだわらない

何もしたくない状態が長く続いている。

以前できていたことが、明らかにできなくなった。

仕事、学校、家事など日常生活への影響が大きい。

睡眠や食事にも大きな変化がある。

自分だけでは抱えきれない。

そう感じる場合は、医療機関や公的な相談窓口など、専門家への相談も検討してください。

また、自分を傷つけたい、消えてしまいたいなど、身の安全に関わる状態なら、この記事だけで対処しようとせず、身近な人や医療機関、緊急の相談先につながることを優先してください。

この記事は診断や治療を行うものではなく、服薬の開始・中止・変更を勧めるものでもありません。


編集部より

「何もしたくない」と思った日に、

さらに、

「だから自分は怠け者だ」

という判決まで出さなくてもいいと思います。

今日できなかったことを数える前に、

一つだけ聞いてみる。

「何が、一番重かった?」

体なのか。

頭なのか。

仕事なのか。

人なのか。

始めることなのか。

それとも、まだ分からないのか。

回復研究所では、その「まだ分からない」を、無理に病名へ押し込まずに一つずつ調べていきます。

次回のヤバりみ!回復研究所

「理由は分からない。でも、しんどい」——うまく説明できない自分の状態を、どう言葉にする?

「疲れている」とも少し違う。
「悲しい」とも言い切れない。
「仕事が嫌」だけでもない。

でも、なんとなく重い。

次回は、そんな自分でも説明しにくい状態を、無理に病名へ結びつけず、少しずつ言葉にしていく方法を考えます。

ヤバりみ!回復研究所は、次回も「分からない」から始めます。


回復研究所について

ヤバりみ!回復研究所では、統合失調症、ADHD、ASD、神経可塑性などについて、研究で分かっていることと、まだ分かっていないことを分けながら、「回復とは何か」を追っています。

ただ、私たちが苦しくなるとき、最初から病名が分かっているとは限りません。

「何もしたくない」

「仕事に行きたくない」

「イライラが止まらない」

「理由は分からないけれど不安」

そんな、うまく名前をつけられない状態から始まることもあります。

だから回復研究所では、病名だけではなく、こうした日常の困りごとも一つずつ取り上げます。

すぐに答えを決めつけるのではなく、

今、自分に何が起きているのか。
今日できることはあるのか。
そして、必要なら誰に相談すればいいのか。

そこまで一緒に考えていきます。


参考資料

  • Grahek I, et al. Motivation and Cognitive Control in Depression. Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 2019.
  • Rock PL, et al. Cognitive impairment in depression: a systematic review and meta-analysis. Psychological Medicine, 2014.
  • Lowe CJ, et al. The neurocognitive consequences of sleep restriction: A meta-analytic review. Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 2017.
  • NICE. Depression in adults: treatment and management (NG222). 行動活性化を含む成人うつ病の治療・管理ガイドライン。

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