ナジカの競走馬ファイル Vol.01|モンローウォーク――4戦4勝、重賞初制覇。その「無敗」はどこまで続くのか

ルミ競馬研究所

競馬には、戦績表の数字だけでは分からない馬がいる。

4戦4勝。重賞初制覇。

モンローウォークは、ローズステークス2026を勝って無敗を4戦に伸ばした。

新馬戦は芝1600m。
そこから芝1800mへ距離を延ばし、良馬場でも重馬場でも勝利。
そして4戦目、初めて挑んだ重賞でも1着。

戦績だけを並べれば、

「4回走って、4回勝った馬」。

でも、私が見たいのはその中身だ。

なぜ条件が変わっても崩れないのか。
なぜ相手が強くなったローズステークスでも、これまでと同じように前で運び、最後まで脚を残せたのか。

そして――。

次に距離やコース、相手関係が変わったとき、この馬の強さはどう変わるのか。

ルミ競馬研究所の新シリーズ「ナジカの競走馬ファイル」。

第1回は、ローズステークスを制して4戦4勝となったモンローウォーク。

無敗という数字だけではなく、4つのレースを一つずつ振り返りながら、この馬がここまで負けていない理由を見ていく。


ミラン、今日は「4戦目」まで見るわよ

「ミラン、今日は予想じゃないわよ」

資料を整理していたミランが、少し不思議そうな顔をした。

「馬券、買わないんですか?」

ナジカは首を横に振る。

「今日は馬券じゃない。この馬がどうやってここまで来たのか、それを見るの」

机の上には4枚のレース資料。

2025年8月16日、新潟。

2026年6月14日、函館。

2026年7月19日、函館。

そして――2026年9月13日、阪神。

モンローウォークがこれまで走った4戦だ。

「4枚になりましたね」

「そう。しかも4枚目は、初めての重賞よ」

ナジカは最後の1枚を手に取った。

ローズステークス2026。

そこには「1着」と記されている。

「3戦3勝でここへ来て、初重賞も勝った。でも私は、4戦4勝という数字だけを見たいわけじゃないの」

「じゃあ、何を見るんですか?」

「4回とも、どうやって勝ったのかよ」


1|始まりは新潟芝1600m

モンローウォークのデビューは、2025年8月16日の新潟芝1600m。

1番人気。

馬体重430kg。

戸崎圭太騎手を背に、1分35秒5、上がり33秒9で勝利した。

ここでナジカが最初に見るのは、「勝った」という結果だけではない。

430kgだったこと。

そして、その後しばらく実戦から離れたことだ。

ただし、その期間に何があったのかを、外から勝手に物語にすることはできない。

確認できるのは、

430kgだった馬が、次にレースへ姿を現したときには452kgになっていた。

という事実だ。

「22kg増えてる……」

ミランが資料を見ながら言う。

「数字だけならそうね。でも、馬体重が増えたから強くなった、と単純には言えないわ」

ナジカが赤ペンで「430→452」と囲む。

「大事なのは、その状態で次にどんな走りをしたかよ」


2|10か月後。函館で見せた「別の勝ち方」

2026年6月14日。

モンローウォークは函館の八雲特別、芝1800mへ出走した。

ここでも1番人気。

馬体重は452kg。

そして結果は1着。

通過順位は3-3-3-3

上がり34秒6。

2着ドッグウッドに2馬身差をつけ、1分47秒8で勝っている。

新馬戦は1600m。

今度は1800m。

距離が200m延びた。

それでも崩れなかった。

しかも後方一気ではない。

前の集団に入り、自分で競馬に参加しながら最後まで脚を使った。

ナジカはここをかなり重要視する。

「私は、派手な末脚だけの馬より、自分で位置を取って、それでも最後に脚を使える馬の方が気になるの」

「展開待ちになりにくい?」

「そういう可能性があるってこと。ただし、この時点ではまだ1勝クラス。ここだけで決めるのは早かったわ」


3|重馬場でも止まらなかった

そして3戦目。

2026年7月19日、函館・かもめ島特別。

芝1800m。

今度は重馬場だった。

馬体重は再び452kg。

1番人気。

通過順位は2-2-2-2

上がり35秒4。

結果は1着。

しかも2着アストリルとの差は0.6秒だった。

ミランが資料をめくる。

「良馬場でも勝って、重馬場でも勝った……」

「そこは面白いところね」

ただし、

良でも重でも勝った=どんな馬場でも絶対に強い

という意味ではない。

それでも、異なる馬場状態で結果を残したという実績は消えない。

そしてナジカがもう一つ気にしたのが、位置取りだ。

八雲特別は3番手付近。

かもめ島特別は2番手。

モンローウォークはここまで、極端に後ろへ下げて展開が向くのを待つ競馬をしていない。


4|4戦を並べると、もっと面白くなった

ここまでの4戦を並べてみる。

2025年8月16日 新潟・新馬
芝1600m/良
1着/430kg/上がり33.9

2026年6月14日 函館・八雲特別
芝1800m/良
1着/452kg/3-3-3-3/上がり34.6

2026年7月19日 函館・かもめ島特別
芝1800m/重
1着/452kg/2-2-2-2/上がり35.4

2026年9月13日 阪神・ローズステークス
芝1800m/1着
450kg/2-2/上がり34.1
1分44秒5/2着エンネに3馬身差

4戦4勝。

でも、ナジカが面白いと感じたのは、「無敗」という文字だけではない。

1600m→1800m。
430kg→452kg→450kg。
良馬場→重馬場。
新馬→1勝クラス→2勝クラス→GⅡ。

条件も、相手も変わっている。

それでも結果だけは変わらなかった。

4戦すべて1着。

「ナジカさん、初重賞まで勝ったなら、もう相当強いって言っていいんじゃ……」

「強いわよ。でも、“強い”で終わったらファイルにならないでしょう?」

ナジカは4枚目の資料を開いた。

「私は、どう強かったのかを残したいの」


5|3戦3勝の馬に残っていた質問。その答えが出た

ローズステークス前、モンローウォークにはまだ答えていない質問があった。

① 重賞でもこれまでの位置を取れるのか。

② 阪神外回りで直線に入ってから、もう一度脚を使えるのか。

③ 強い相手からプレッシャーを受けても、自分の競馬を崩さないのか。

そして9月13日。

答えの一部が出た。

道中は2番手

初重賞でも、これまでと同じように前の位置を取った。

直線では残り400mを過ぎて先頭へ並びかけ、残り300m付近から追い出すと後続との差を広げた。

1着。

2着エンネとの差は3馬身

上がり3Fは34秒1

3戦3勝は、そこで終わった。

代わりに、

4戦4勝、重賞初制覇。

という新しい数字が加わった。

「3戦目まで見ていたものが、重賞でも消えなかったんですね」

「そう。そこが今回、一番確認したかったところよ」

ただし、これで全部の質問に答えが出たわけではない。

次に条件が変われば、また新しい問いが生まれる。


6|「令和のファインモーション」という言葉は、一度横に置く

モンローウォークには、以前から興味深い呼ばれ方があった。

一部では**「令和のファインモーション」**として注目されていた。

無敗3連勝からローズステークスへ。

そして実際に、そのローズステークスも勝った。

確かに競馬ファンには魅力的な物語だ。

それでも、このシリーズでは一度その呼び名を横へ置く。

過去の名牝に似ているから強いのではない。

モンローウォークには、モンローウォーク自身の4戦がある。

「私はね、こういうときほど比較対象を消して見たくなるの」

ナジカが言う。

「“誰々の再来”じゃなくて、この馬が何者なのか。それを見たいのよ」

ミランが小さく頷いた。


7|4戦目で、答えが一つ増えた

2026年9月13日。

ローズステークス。

ここはもう白紙ではない。

モンローウォークの競走馬ファイルに、4枚目の結果が加わった。

4戦目|ローズステークス2026

着順:1着

タイム:1分44秒5

通過順位:2番手→2番手(②②)

上がり3F:34秒1

馬体重:450kg(前走比-2kg)

人気:1番人気

勝ち馬との差:自身が勝ち馬。2着エンネに3馬身差

ナジカがレース後に確認したこと

位置取り:
スタートから自然に前へ。道中は2番手で折り合い、これまでの函館2戦と同じく前で運ぶ形になった。無理にハナを奪うことはなく、逃げ馬を見ながら2番手を確保。初重賞でも自分の得意な位置を取る先行力はそのまま通用した。

直線:
2番手のまま余力を残して直線へ。残り400mを過ぎて先頭に並びかけ、残り300m付近から追い出すと後続との差を広げた。最後までステッキを使わず、2着エンネに3馬身差。上がり3Fは34秒1で、前で運びながら最後まで脚を残した内容だった。

初重賞への対応:
3戦3勝で迎えた初重賞だったが、相手強化によってこれまでの先行力が失われることはなかった。2番手で折り合い、直線でもう一段加速して3馬身差。条件戦で見せてきた「前につけて最後まで脚を使う」という形が、GⅡでも通用した。これでデビューから4戦4勝、重賞初制覇となった。

秋華賞への評価:
ローズステークス1着により、秋華賞の優先出走権を獲得した。ただし、今回の阪神芝1800m外回りから秋華賞では京都芝2000mへ条件が変わる。今回確認できた先行力と折り合いを評価しつつ、距離延長とコース替わりで同じ強みを出せるかが次の確認点になる。今後の出走については陣営の正式な動向を確認していく。

ナジカ

「初重賞で、2番手から3馬身差。しかも最後までステッキを使わなかった。4戦4勝という数字以上に、相手が強くなっても自分の位置を取って、最後まで脚を残せたことを私は評価したいわ。次は距離とコースが変わったとき、この強さがどう変化するのかを見ておきたい。」

ミラン

「阪神1800mでは前につけたまま最後まで伸びましたけど、京都2000mに変わっても同じ位置から競馬できるのか――そこが次に見たいところですか?」


8|4戦4勝。でも、このファイルはここで終わらない

ローズステークスを勝って、モンローウォークは4戦4勝になった。

初めての重賞。

相手強化。

55kg。

阪神芝1800m外回り。

それでも結果は1着だった。

でも、このシリーズで残したいのは無敗記録だけではない。

その馬が、

どんな条件で強く、

条件が変わったときに何が変わり、

どこで苦しみ、

どこで新しい強さを見せるのか。

それを一戦ずつ残していく。

ナジカが4枚の資料を重ねる。

「強い馬って、勝った数だけ見ても分からないのよ」

ミランがローズステークスの資料を指さした。

「じゃあ、4戦4勝でもまだ完成じゃない?」

「もちろん。次に条件が変われば、また見たいことが出てくるわ」

4枚目まで埋まったファイルを、ナジカは閉じた。

モンローウォーク。

3戦3勝で始めたこのファイルは、

4戦4勝、重賞初制覇。

最初のページから、もう少し先へ進んだ。

でも、まだ終わりではない。

ナジカからひとこと

ローズステークスを勝って、4戦4勝となったモンローウォーク。

皆さんは今回の走りをどう見ましたか?

「2番手からの競馬を評価した」
「3馬身差以上に内容が強かった」
「次に距離が延びたときが気になる」

ローズステークスを見て感じたことや、これからこの馬に期待することを、ぜひコメント欄で聞かせてください。

このファイルには、モンローウォークが次に走ったとき、5戦目を追加します。


ナジカの競走馬ファイル

Vol.01|モンローウォーク――4戦4勝、重賞初制覇。その「無敗」はどこまで続くのか

モンローウォークのファイルは継続。

Vol.02は、まだ未定。
次のレースを見て、「この馬の続きを見たい」と思える馬がいたとき、新しいファイルを開きます。

「勝った数だけじゃ、その馬は分からない。だから私は、次の一戦も見る。」

――ナジカの競走馬ファイル。つづく。



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